当室は、これまで韓国における倭城(わじょう)の存在について皆様にご紹介してまいりましたが、倭城以上に馴染みの薄いのが、朝鮮半島に数多く造られた2000以上にのぼるとも言われる城郭群です。それらの代表的なものが邑城(ゆうじょう:現地ではウプソンと呼ぶ)と山城(やまじろ現地ではサンソンと呼ぶ)です。前者の邑城は中国の城郭を真似て町全体を城壁で囲み東西南北に門を設けたもので、李氏朝鮮時代190城程度存在していましたが、残念ながら一部を除き大半が消滅してしまいました。なぜなら、邑城の多くが平野部にあるため、町の近代化を進めるうえで、城壁等が障害になったためと考えられます。
しかし、韓国では二十数年前から歴史的文化財を積極的に保全する考え方が強まり、邑城の一部を復元する工事が各地で実施されています。これにより、少しずつ在りし日の姿を垣間見ることができるようになりつつあることは、旅行者にとって非常に歓迎すべきことと存じます。
一方、後者の山城は退避用に山間部に築造され、町の近代化とは直接関係しなかったため、その多くが荒れ果てながらも残りました。その数約800城が知られ、最大のものは釜山北部にある金井山城で、山の尾根に沿って城壁をぐるりと巡らせ、その周囲17kmにも及びます。ただ山城は不便な山奥に存在するため、邑城のように簡単に見学することはできません。当室では、これらの邑城や山城についてもできるだけ多く訪問するとともに、情報収集を進めており皆様に少しでもご紹介できれば、と願っております。
とはいえ、一部の研究者を除き、
私たちは学校で韓国の城郭について学習する機会が全くないため、それらの存在についてほとんど知らないのが実情と申せましょう。
そこで、このたび韓国の邑城や山城が我が国の城郭とどのように異なるかをおおくの皆様に知っていただくために表記「韓国の城郭案内無料入門」講座を下記のとおり開催することといたしました。手前味噌ながら、韓国の城郭に関する講座は、我が国ではあまり見かけないのではなかろうか?と存じます。
つきましては、学生・社会人を問わず、韓国の城郭について関心のある方はもちろん、朝鮮半島の歴史に興味のある方におかれましても、ぜひ受講賜りその概要をご理解していただければ、幸甚に存じる次第であります。
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